研究所の蔵書

研究所は、戦後に旧大名家等に伝わる良質の古典籍が多く世に出て、古書古典籍を購入しやすい時期に発足した幸運も手伝って、蔵書整備は比較的順調に進みました。

昭和29年4月までの蒐書約3,000冊については、同年8月刊行の『蔵書目録附解題』に詳しく、そのなかには野上博士旧蔵で弥生子夫人から寄贈された安土桃山期の「車屋謡本」百冊をはじめ、仙台伊達家旧蔵「伝観世小次郎信光謡本」100冊、「堀池謡本」74冊や最古の狂言本『天正狂言本』など、貴重書が少なくありません。これらは、蒐集に当たった時期的な幸運もありますが、大学当局の理解と、研究所に寄せられた関係各位の御高配の賜物であります。

蔵書は年ごとに充実し、室町期写本、江戸期の写本・版本、明治期以降の活字本、雑誌、絵画、図録、外国語文献、その他、室町時代から現代におよぶ能楽関係資料が揃い、現在、蔵書数は約4万冊を数えます。

多くの方々の御芳志により図書・資料の寄贈を受け、まとまったものとして、現在、以下の文庫をあげることができますが、ほかにも多く方々からの御芳志により能楽関係図書・資料の寄贈を受け、調査・研究に活用されています。

明治期以降の資料