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3.能楽伝書

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  • 二曲三体人形図  (17)  [翻字]
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 世阿弥伝書。 舞・歌の二曲と老・女・軍の三体を、演技論を交え絵入りで詳細に論じている。応永28年(1421)成立。 「日記ヒトカタ口伝」と題した仮綴本(一冊、267×207ミリ)に、金春禅竹筆『花伝第七別紙口伝』残簡・『作善日記』とともに書写されている。 内題「人形」、末尾数行分欠。
  • 明宿集  (18)
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    • 分類: 能楽伝書(2)禅竹伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 金春禅竹自筆の能楽伝書。翁・宿神同体説に基づく翁神聖論。昭和三十九年に金春宗家で発見された十一枚を大型の折本(305×492)に仕立てたもの。奥書はないが、禅竹の晩年、寛正六年頃の成立と考えられている。
  • 細川十部伝書 至花道 (14)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 応永二十七年成立の世阿弥伝書。細川幽斎所持本を三男の妙菴玄又が慶長三年に写した本の転写本。
  • 細川十部伝書 五音(下) (44)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 世阿弥晩年の音曲伝書。能の作者の考定資料としても頻用される。下巻には、闌曲および曲舞謡の説明と例曲を収める。本資料は細川幽斎所持本を三男の妙菴玄又が慶長三年に写した本の転写本。
  • 細川十部伝書 世子六十以後申楽談儀 (68)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 世阿弥の芸談を次男元能が記録した伝書。本資料は、記事の省略が多い。幽斎が徳川家康から借りて書写したとの奥書(転写)を持つ。
  • 細川十部伝書 大野本笛鼓伝書 (15)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 天文十五年二月の、宮増弥左衛門から大野三郎へ宛てた奥書(転写)を持つ、笛・鼓伝書。
  • 細川十部伝書 能口伝之聞書 (59)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 足利義輝に仕えた飯河治部少輔秋共(一両斎妙佐)が幽斎の居城の丹後田辺や京都で多くの人から得た能や謡に関する聞き書き。妙菴玄又が慶長三年に写した本の転写本。
  • 細川十部伝書 申楽聞書 (33)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 猿楽の由緒・故実説、金春禅竹の「五音十体」、能や謡に関する雑説を合わせた能楽伝書。妙菴玄又が慶長四年に写した本の転写本。
  • 細川十部伝書 宗筠袖下 (34)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 禅竹の子の金春七郎元氏(宗筠)の伝書を装った、室町末期の謡伝書。丹後の能役者だったらしい愛若太夫の所持本を妙菴玄又が写した本の転写本。
  • 細川十部伝書 節章句秘伝之抄 (110)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 室町末期成立の主要な謡伝書多数の合写本。全体を統括する奥書はないが、編者は妙菴玄又の可能性が高い。
  • 宗筠袖下(鳥養本)  (51)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 禅竹の子の金春七郎元氏(宗筠)の伝書を装った、室町末期の謡伝書。車屋謡本の著者・刊者として有名な鳥養道〓の長男新蔵の所持本。(〓は日に折)
  • 叢伝抄  (50)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 本願寺の坊官で、金春流の能を舞った下間少進(1551-1616)編の伝書。世阿弥の『風姿花伝』、金春禅竹の『五音十体』のほか、『少進聞書』『音曲和集』など、種々の伝書の記事を寄せ集めて編纂したもので、その内容は多岐にわたっている。付の『童舞抄』などと同じく下間家の伝来本で、少進の自筆らしい。
  • 黒川春村旧蔵「世子六十以後申楽談儀」  (45)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 世阿弥の芸談を次男元能が書き留めた伝書。黒川春村は幕末の国学者。本資料は柳亭種彦旧蔵本から転写を重ねたもので、春村が種彦旧蔵原本を借り受けて校合した朱筆書き入れがある。
  • 竹田弥次郎伝書  (10)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 紙高240ミリの巻子本。もとは袋綴の冊子本。永正七年奥書。金春座の太鼓方、金春弥次郎禅珍が編纂した能楽伝書。
  • 風姿花伝(八左衛門本)  (77)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 奥義篇までを一括書写する五巻本系の『風姿花伝』。袋綴大本。宝山寺蔵金春本の転写本。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 至花道(八左衛門本)  (27)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 応永二十七年成立の世阿弥伝書。袋綴半紙本。宝山寺蔵金春本の転写本。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 拾玉得花  (31)
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    • 分類: 能楽伝書(1)世阿弥伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 正長元年に世阿弥から金春禅竹へ相伝した能楽伝書。袋綴大本。現存する唯一の伝本で、八左衛門家初代の安喜筆。
  • 六輪一露之記  (47)
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    • 分類: 能楽伝書(2)禅竹伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 金春禅竹の能楽伝書。袋綴大本。『六輪一露之記注』『六輪一露之私詞』『稲荷参籠記』等を合写。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 至道要抄  (32)
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    • 分類: 能楽伝書(2)禅竹伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 金春禅竹最晩年の能楽伝書。袋綴大本。宝山寺蔵の禅竹自筆本の転写本。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 歌舞髄脳記  (48)
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    • 分類: 能楽伝書(2)禅竹伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 康正二年奥書の金春禅竹伝書の最善本。袋綴半紙本。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 五音三曲集  (69)
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    • 分類: 能楽伝書(2)禅竹伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 康正四年奥書の、金春禅竹による音曲伝書。袋綴半紙本。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 五音之次第  (25)
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    • 分類: 能楽伝書(2)禅竹伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 享徳四年奥書の金春禅竹伝書。袋綴半紙本。本資料は現存する唯一の伝本で、八左衛門家初代の安喜筆。
  • 毛端私珍抄  (39)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 金春大夫元安(禅鳳)の伝書。袋綴半紙本。本資料は現存する唯一の伝本で、八左衛門家初代の安喜筆。
  • 反古裏之書(禅鳳習道目録) (3)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 金春大夫元安(禅鳳)の伝書。袋綴半紙本。本来は無題。現存する唯一の完本で、八左衛門家初代の安喜筆。
    1. -1-  (43)
    2. -2-  (20)
    3. -3-  (42)
  • 己心集  (15)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 金春禅竹周辺で成立したかと推測される能楽伝書。袋綴半紙本。著者不明。本資料は現存する唯一の伝本で、八左衛門家初代の安喜筆。
  • 音律箐華集  (21)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 音律や音韻の理論解説書。袋綴半紙本。八左衛門家初代の安喜筆。
  • 音曲和集  (23)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 音曲伝書。仮綴中本。奥書には天正一五年に観世宗節から松永永種へ相伝というが、存疑。下間家伝来本。
  • 古活字版『八帖本花伝書』 (8)
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    • 分類: 能楽伝書(2)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 室町後期の能楽伝書。世阿弥伝書の一部や室町後期の種々の能楽秘伝書の内容がまとめられている。本資料は袋綴大本の古活字版で、奥書はないが、慶長末年頃の刊行。
    1. 巻一  (23)
    2. 巻二  (21)
    3. 巻三  (33)
    4. 巻四  (40)
    5. 巻五  (36)
    6. 巻六  (29)
    7. 巻七  (38)
    8. 巻八  (20)
  • 風鼓尊若伝書 (25)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 「尊若鼓伝書」と「明応弥七伝書風鼓」とを合写した鼓伝書。前者は、金春座の大鼓役者・藤五郎がまだ尊若という稚名を名乗っていた頃に弟子に相伝した伝書で、十五世紀末までの成立と見られる。現存する鼓伝書としては最古の部類に属する。後者は金春座の小鼓役者・金春弥七が明応八年に誰かの所望に応じて相伝した伝書で、伊勢の「しもくす」にて宮増大夫より三代にわたって相伝の由を奥書にいう。
  • 遊舞集 (69)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 戦国期の観世座の笛役者・彦兵衛系統の伝書。越前出身の笛役者で、千野与一左衛門の弟子である成田福介吉藤が天正二年、田邊弥六に相伝した伝書と、笛彦四郎(彦兵衛の前名)が永正十年、朝倉弥三に相伝した伝書を合写する。前者は成田が千野与一左衛門・備中屋一噌・観世与左衛門の三人から相伝を受けた伝書。金春家にも慶長十九年に成田福介の息子、成田外記吉智が遠藤六郎右衛門に相伝した本(同じく遊舞集と題す)の写しが伝わる。各曲の笛の吹き様についての記事の中には、稀曲に関するものも多く、能の演出資料としても有用。末尾に宝永六年、中村源□の書写奥書があり、同年の書写と見られる。中村源□は南都禰宜衆の中村源助か。
  • 永正八年信光伝書 (1)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 室町後期、能作者・大鼓役者として活躍した観世小次郎信光の音曲伝書。「声ツカウ事」の見出しがあるが、この見出しに対応するのは冒頭の四行のみで、発声論のほか、扇拍子、文字移りの説など、音曲全般に関わる内容。他の信光自筆の文書の筆跡と酷似し、信光自筆の可能性が高い。金春家旧伝文書『聞書色々』所収の、永正七年の年記がある信光の音曲伝書とも内容的に重なる部分が多い。
  • 享禄三年奥書能伝書 (18)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 享禄三年二月の奥書がある能伝書。〈式三番〉の次第、能謡の起源、脇の風体、調子に関する記事などから成る。叡山・多武峰の宿神信仰に言及する中で、多武峰の六十六番猿楽や神変奇特の翁面ついての伝承を書き留めるなど、能楽史の資料としても有用。
  • 腋応答長俊授息書 (15)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 脇方の伝書。永正十年の坂戸四郎権守元正伝書と天文四年の観世弥二郎長俊伝書とを、『四座役者目録』の編者でもある観世勝右衛門が寛永十八年に合写したもの。書名は脇方の演技について長俊が息子に伝授した書物の意。奥書をそのまま信ずれば、脇方のまとまった伝書として最古のものということになるが、内容は長俊時代の説のままではないとの説もある。
  • 天文元年服部三郎元広伝書 (3)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 天文元年に服部三郎元広が相伝した旨の奥書がある能伝書。「服部三郎元広」は六世観世大夫元広のことらしいが、観世元広に仮託した後世の伝書で、実際の編者は江戸前期の大坂の眼医者・真島秋扇翁宴庵と見られる。宴庵は本書と同じく観世元広仮託の能伝書を数多く残しており(実鑑抄系伝書と総称される)、その実鑑抄系伝書の中では比較的後年に成立した一本と見られる。鳥の子紙を用いた寛文頃の写本。転写の際の誤脱が少なく、実鑑抄系伝書の良質な伝本として注目される。同じく誤脱がきわめて少ない早稲田大学図書館蔵「観世音御太夫伝書第四巻断簡」とは、本文の料紙のみならず筆跡までもが酷似し、ともに真嶋宴庵の自筆本である可能性が高い。
    1. 巻上 (16)
    2. 巻中 (16)
    3. 巻下 (15)
  • 天文六年真木景忠奥書「音曲伝書」 (1)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 慶長頃写の能伝書。宗節巻子本系音曲伝書・謡秘伝抄・自家伝抄など、戦国期頃成立の種々の伝書を合写して一巻とする。巻尾には、天文二年の観世弥二郎長俊から真木六郎右衛門尉宛の相伝奥書、天文六年の真木六郎右衛門景忠から千秋左近蔵人宛ての相伝奥書がある。相伝者・被相伝者の真木・千秋はともに越前の戦国大名朝倉氏の被官らしい。
  • 天文四年奥書「加納入道太鼓伝書」 (1)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 天文四年に加納与井知入道が与五郎に相伝した太鼓伝書。現存する太鼓伝書の中では最も古い年記を持つ。技法に関する記事のみならず、能の故実や心構えなど多彩な内容を含む。各条の上部に、誰からの相伝であるか注記する。相伝者として今春八郎・今春七郎・善珍弥二郎・宮増弥左衛門・菅将監らの名が見えるが、過半の条は次郎大夫からの相伝であり、著者は観世座太鼓方の観世次郎大夫国忠の門弟らしい。伊達家の旧蔵。
  • 天文十一年奥書宮増弥左衛門伝書 (5)
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    • 分類: 能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 高さ177mm。料紙薄葉斐紙で、長さ約2m。法会之舞乱拍子の分かち、その他鼓の基本的心得を説いた伝書。末に「天文十一年極月十日 宮増弥左衛門 親賢(花押)観世九郎殿参」と奥書があるが、近世の転写本らしい。観世九郎は彦右衛門の初名で、当時18歳。宮増小鼓伝書として信じ得る内容。
  • 天文十七年千野彦五郎親久奥書『双笛抄』 (1)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 観世座の笛彦兵衛の伝書。千野彦五郎親久が笛彦兵衛から相伝を受けた伝書を、天文十七年に書写して牛尾小五郎に送り、慶長二年にさらに宍戸善兵衛に相伝した由の奥書・識語がある。千野は観世座笛方。牛尾・宍戸はともに戦国大名毛利家の家臣。笛彦兵衛の所説を核としながら、かなりの増補改訂が加わっているらしい。毛利家旧蔵。鴻山文庫には他にも毛利家旧蔵の資料がいくつかあり、それらと同時期に入庫したもののようである。
  • 天文二十三年筆「観世与左衛門国広太鼓伝書」 (1)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 戦国期に活躍した観世座の太鼓役者、観世与左衛門国広の伝書。天文二十三年に小嶋弥四郎に相伝した旨の奥書がある。本文・奥書ともに観世国広の自筆。国広は前年にも小嶋弥四郎に「太鼓書」と題する伝書を相伝している(永青文庫蔵)。小嶋については伝不明。個々の曲の打ち様や太鼓の手に関する記事と一般的な心得とが混在し、雑然とした内容であるが、戦国期の能の囃子の実態を窺う上で貴重な資料である。
  • 二見忠隆奥書囃子伝書 (105)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 列帖装(236×170ミリ)。奥書に「此書物足代七郎右衛門尉御相伝被成候物にて/同伊兵衛殿江懇望仕書色々あつめ三帖ヲ壱帖ニ書也/慶長拾二年 三月吉日/二見忠隆(花押)」とあり、足代七郎右衛門に相伝された戦国期の複数の囃子伝書を、慶長十二年、二見忠隆が合写し、一書にまとめたもの。足代は『四座役者目録』に「伊勢ノ御師アシロ大夫」と見える人物と同人か。二見忠隆も伊勢の御師らしい。内容は「小鼓之手聞書」、「風曲集聞書」(大鼓手付)、「式三番之次第」、「笛の心持」等から成り、金剛又兵衛・大蔵新介・備中屋一噌・幸五郎二郎の名も見える。一部に曲毎の手付けが記されており、戦国期の囃子の実態を伝える貴重な資料。末尾の伝書には「永禄元年卯月吉日 威徳相伝書写之」の識語があり、伊勢下楠住の宝生座大鼓方威徳四郎次郎からの相伝記事を含むと考えられる。伊勢久留氏の旧蔵本。
  • 天正九年奥書「橋本与太郎小鼓伝書」 (1)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 天正九年に橋本与太郎景忠が那波次郎に相伝した小鼓伝書。宮増系の鼓伝書と重なる記事が多い。相伝者の橋本与太郎は、『四座役者目録』に「橋本キシユン」として見える人物と同人らしい。「橋本キシユン」は、宮増弥左衛門の弟子である橋本与三右衛門の子。その与三右衛門も初名を与太郎といったことが、毛利博物館蔵『鼓之書』の奥書から知られる。
  • 「音曲百首」 (9)
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    • 分類: 能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 袋綴美濃本(264×187mm)。紺表紙。金泥模様入り題簽。料紙は楮紙で墨付六丁。百首の音曲道歌(通常流布のもの)を連ねた末に「右此詠観世音阿弥作也/大蔵九郎能氏在判」とある。江戸初期頃の写本。
  • 新九郎流小鼓習事伝書 (46)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 袋綴の半紙本(250×180ミリ)。宮増親賢→観世宗拶→観世道叱→観世宗冶(豊勝)と伝来した書を観世惣兵衛豊俊(四代豊勝の子。別家初代)が書写した由の奥書がある(正保五年閏正月廿日の書写)。開口置鼓・道成寺蘭拍子・法会之舞・獅子・懺法・白拍子など、秘事に属する記事を集めた小鼓伝書。道叱・宗冶の説も混じり、興味深い内容。
  • 六輪一露抜書幷今春習事 (71)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 能楽研究所蔵
    • 解題: 仙台藩五代藩主・伊達吉村の筆になる金春系の能伝書。貞享元年の年記がある大蔵庄左衛門経喜『六輪一露之抜書』のほか、各曲の習い、今春大蔵家の能名寄、能道具の覚えなどを収める。吉村は父・綱村の命で幼い頃から金春流の桜井八右衛門安成に師事して能の稽古に努めた人物。本書をはじめ、数多くの型付や伝書を書き残している。伊達家旧蔵。
  • 享保四年竹村孫之進益純筆「謡之秘抜条々」 (38)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 江戸中期の京都で観世流の謡師匠として活躍した竹村孫之進益純の謡伝書。奥書に、享保四年、竹村孫之進が「平井秀師丈」に相伝した由を記す。記事内容は、江戸初期に刊行された謡伝書『謡の秘書』などと重なるものが大半で、あまり見るべきものがないが、竹村の伝記資料として注目される。竹村家から観世流謡方の岩井直恒に伝わり、さらに浅井織之丞家に伝来したもの。
  • 明和五年岡本節斎編『太郎次郎』水谷本 (71)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 袋綴の美濃本(274×194ミリ)。改装焦茶鼠色表紙の左上の題簽(元表紙分を転用したらしい古い物)に「太郎次郎秘書」とある。後表紙見返しに本文と同筆で「弘化三丙午年/十一月写之/水谷氏/所持」とあり、水谷某が筆者か。多年喜多流の謡を嗜み、七世喜多十大夫定能の直弟子でもあった岡本節斎(彦根藩士)が、自流のみならず観世流・金春流の伝書や版本の『八帖本花伝書』『音曲玉淵集』をも参照して編んだ書。「喜多流習学大全」と号したいのを遠慮して「太郎次郎」と名付けた、とある。
  • 明和五年岡本節斎編『太郎次郎』汲巴亭本 (46)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 袋綴の半紙本(237×162ミリ)。江戸末期の写本。前本とほとんど同内容の喜多流伝書『太郎次郎』で、冒頭に「謡覚書/石上宣仙」と、前本にはない編者の名がある点と、末部の明和五年の岡本節斎の奥書的記事で終わり、前本がその後に付載していた謡本等の目録がない点のみが異なる。前本と本書の本文とでは、書写の間に生じた小異がかなりあり、原本が難読だったらしい部分など、両方を参照して判断が可能になるケースも多い。
  • 文政八年金春殆年奥書『手術要』 (19)
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    • 分類: 能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 仮綴中型横本。共表紙に題記。「稽古之条々」と「撃鼓要」の二部から成る鼓伝書。心がけ的な記事が主体。末に日吉宣哉から草鹿宣昭君への奥書(年記なし)があり、続いて「此書は祖父日吉宜哉より大聖寺家中草鹿宣昭殿江認メ被遣候書、当次郎殿江戸出府之節持参被致被為見候ニ付写置もの也 文政八酉年卯月上旬 金春殆年(花押)」とあるが、花押は模写らしく、薄葉を用いて影写した本らしい。金春殆年については不明。
  • 江戸末期筆「観世流小鼓習事目録」 (20)
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    • 分類: 能楽伝書
    • 所蔵: 観世新九郎家文庫蔵
    • 解題: 袋綴小本(136×93mm)。藍色表紙。外題なし。内題「風鼓色有事」。鼓の習事の名目を列挙したもの。正保三年に観世元信が思い出し次第に書き付け、寛文二年八月十八日に観世新九郎に贈った由の奥書があるが、原本ではなく江戸末期頃の写しで、豊成の筆らしい。薄葉紙に墨付14丁。約100丁の余白がある。
  • 東本願寺式能評・うたひ鏡 (49)
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    • 分類: 能楽伝書(3)能楽伝書
    • 所蔵: 法政大学鴻山文庫蔵
    • 解題: 袋綴の小型半紙本(233×157)。「東本願寺式能評」と『うたひ鏡』の合写本。「東本願寺式能評」は、明治四十四年五月一日と三日に親鸞の六百五十回忌を記念して同寺大師堂白洲で催された大がかりな能について、催主たる門主の光演上人が能・狂言・囃子・一調のほとんど全曲にわたって批評したもの。大谷光演(1875~1943)は東本願寺二十三世の法主で、能・謡に造詣深く、金剛謹之助が能の師匠であった。『うたひ鏡』は、寛文二年八月に京都一条新町の某書肆が刊行した全三十条の版本を抄写したもの。項目は室町末期以来の謡伝書にしばしば説かれることばかりであるが、先行諸書そのままの転載ではなく、当世風に説き直されている。
 

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